ディズニーの塔の上のラプンツェルをテレビで見ました。彼女はフライパンを武器にして戦うのですね。そこで、今回はステンレスフライパンに、ステンシル技法を用いて絵や文字を彫刻する方法を紹介します。色は金、銀、銅色に限定的されますが、装飾しても料理可能です。少々道具が必要ですが、結婚のプレゼントに良いかもしれません。Happily ever after に挑戦してみます。
最初にフライパンを研磨します。少なくとも必要な道具は、サンドペーパーと金属彫刻用やすりです。電動式があれば非常に楽です。
まずは、ステンレスフライパンを用意します。新品でなくても、高級品でなくてもかまいません。内側外側どちらも装飾できますが、今回は内側の調理面にしましょう。
最初はステンレス表面を磨きます。手磨きではスコッチブライトの緑色(240番程度)が良いです。汚れを完全に取り除きます。電動ドリルをお持ちの方は、これに研磨ビットをつけて磨くと楽ちんです。ただし、鏡面にするのは職人技が必要で、普通は無理だと思います。私は、240番から600番までで光沢のあるややマット仕上げにしています。
ステンレスフライパンをあぶり焼きにして、こんがりと金色~銅色の焼き色をつけます。
磨いた後は、表面をきれいに洗います。削った粉が残っているとさびる原因になります。奇麗に洗った後はステンレスをあぶって焼き色をつけて金色~銅色にします。食物じゃあるまいし、ステンレスに焼き色がつくか!と思われるかもしれませんが、これがつくのです。
これは、300℃で以上で起こる現象で、技術的にはテンパーカラーと呼んでいます。ステンレスは耐熱性に優れているのですが、さすがに300℃を超えると、表面の鉄成分が酸化されて酸化鉄になり、黄色~赤色になります。金属光沢があると金色~銅色になります。酸化鉄は全くの無害で、ステンレスフライパンの取扱説明書にもきっちりと記載されていますのでご安心ください。
ステンレスに焼き色をつけるには300℃以上が必要ですが、ガスコンロがあれば簡単です。Siセンサー付きコンロでは、あぶり高温炒めモードにしても290℃で自動的に弱火になってこれ以上温度が上がりません。しかし、あぶりモードでフライパンを少し持ち上げてセンサーと底が接触しないようにすると、センサーが作動しませんのでさらに温度を上げることができます。つまり、フライパンをわずかに」持ち上げてあぶる感じ加熱すると、360℃位まで上げることができます。しかし、IHクッキングヒーターでは無理かもしれません。ラジエントヒーター、キャンプ用やカセット式のガスコンロがあれば可能と思われます。
ステンレスフライパンをあぶり焼きしていると、まずは銀色から金色(300~350℃位)、次に銅色(350~400℃位)、さらには紫色(400℃以上、これには炉が必要でコンロでは無理)になります。お好みの色のところで加熱をストップしてください。
ステンシル技法で下書きし、彫刻します。ミニルーターがあれば楽ちんです。
今度は、金色になったステンシルフライパンに彫刻のための下絵を描きます。これには、ステンシルテンプレート(型紙や定規)や転写シールが使えます。特に、最近は様々なデザインのタトゥーシールがネットで販売されており、非常に便利です。今回は、Happily ever after の筆記体文字をカーボン紙を用いて転写して下絵を描きました。
次は、この下絵に従ってステンレス表面を彫刻していきます。彫刻はペンサイズのやすりを使ってでもできますが、電動式のミニルーター(リューターともいう)を使うと便利です。ダイヤモンドのペン先が回転して金属を削るもので、数千円で販売されています。金色の表面を削ると、元の銀色の部分が出てきて、絵柄が映えてきます。
金属は光の反射具合で写真の見栄えが違ってきます。角度を変えてみました。
出来た作品で料理してもかまいません。お手入れでの研磨はやめてください。リセットは可能です。
できた作品ですが、インテリアとして飾ることができますが、それだけではもったいない。実際に料理に使えます。スキレットのように使って、テーブルで楽しむこともできます。
作品ではステンレスを高温であぶって金色や銅色にしていますが、安全性では全く問題がないとされています。また、表面を彫刻していますが、削ったところでステンレスはステンレスですのでこれも問題ありません。研磨剤や金たわしで削って手入れしたのと同じことです。ただし、最初に使うときは、研磨したくずが残っていますので、良く洗ってからお使いください。
作品フライパンも、前回の投稿でご紹介したように(メニューボタンからホームページに移行していただくと見つかります)、250~290℃に予熱してから調理して最後に外底を冷やすと、油なしでくっつかずに調理することができます。一般の家庭のコンロでは300℃以上のステンレスの変色温度に到達しないので、彫刻したところは簡単には変色しません。しかし、長期的には変色してきますが、これは今のところ防ぎようがなく、仕方ありません。どうすれば良いか考え中です。
お手入でのクレンザーなどの研磨剤、スチールウールと強酸性の洗剤の使用はお控えください。あたりまえですが、研磨して絵や文字を描いていますので、お手入れで研磨してしまうと消えてしまいます。また、着色部分の酸化鉄は酸に溶けてしまいますので、塩酸などの強酸性洗剤は使わないでください。アルカリ性の食器洗い機は使えます。
最後に、制作中に絵柄を失敗した時、フライパンがひどく焦げ付いてしまった時はリセットして元に戻すことができます。つまり、最初に戻って、研磨から始めると何回でも新しい絵や文字を描くことができます。ステンレスフライパンは丈夫なので一生ものと言われますが、フライパンアートに用いてもある意味一生ものかも知れません。
以上、ステンレスフライパンの新しい使い方を紹介しました。違った角度から料理をお楽しみください。