特許を開放します。ライセンス供与詳細については、信頼性確保のため特許庁関連の「開放特許情報データベース」から確認のための検索をお願いいたします。開放特許情報データベース (inpit.go.jp)。特許7426029「アルミニウムおよびアルミニウム合金製品の製造方法」,上記番号を検索欄に入力してください。

当ブログEMMARINIでは、廃棄時に環境負荷の大きいフッ素樹脂を使わなくてもお手入れがしやすいセラミックコーティングしたアルミフライパンを紹介してきました。今回この技術が日本国で特許として認められました。この技術が利用され、少しでも地球水系汚染とPHAS問題が低減されることを願って、特許を有償開放することにしました。

今回は、このセラミックコーティング(EMMARINI’s シリカ系)と、フッ素樹脂、アルマイト、従来のフライパン用セラミックコーティング(主に白色)、無垢のアルミフライパンとを違いがわかるように、下の表1と2を取りまとめました(表は上下にあります。スマートフォンでは左右にスライドしてご覧いただけます。)

比較項目EMMARINI’sシリカ系フッ素樹脂
1.耐熱性約400℃(アルミ基板上)260℃で分解開始、350℃有毒ガス発生 
2.耐熱衝撃性急熱急冷可
(膜厚1μm以下に薄く、基材との密着性が大きいため熱衝撃を受けにくい)
急熱急冷不可
(膜厚10μm以上)
3.非粘着性予熱すれば食材がくっつきにくくなる。
(ライデンフロスト効果の利用)
予熱しなくてもくっつきにくい。
4.耐剥離性
5.鉛筆硬度6H~9H(焼鈍されない場合)F~H
6.熱伝導性
7.清掃性親水性のため良好撥水性のため良好
8.着色性
(デザイン)
透明(無害な下地黒染め適用可能、アルミ素地の金属光沢を活かすこともできる)各種顔料使用可能
9.環境負荷小(リサイクル可能)大(リサイクル、焼却困難埋立廃棄が主流)
10.耐食性
表1、EMMARINIセラミックコーティングとフッ素樹脂の比較 

項目アルマイト従来セラミックコーティング無垢アルミ合金

耐熱
150℃亀裂
フライパン不可
鍋やかんのみ
400℃以上400℃以上

熱衝
急熱急冷不可
(膜厚10μm以上)
急熱急冷不可、
(膜厚10μm以上)
本体変形しなければ、
急熱急冷可

粘着
予熱すると亀裂発生予熱すれば良好予熱すればやや良

剥離

鉛筆
H以上6H以上2B程度

熱伝

清掃
不良良(親水性)不良

着色
各種染料、調理面不可各種顔料不可

環境
小 リサイクル可能小 リサイクル可能小 リサイクル可能
10
耐食
アルカリに不良酸、アルカリに不良
表2 その他のコーティングとの比較

EMMARINIのシリカ系セラミックコーティングの特徴をまとめると以下の通りです。

①リサイクルしやすい、環境にやさしい、安全でSDGsに合致するフライパン

②高温強火OK、予熱すればこびりつきにくくなる

③親水性で汚れが落ちやすい

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300℃高温炒めなどフッ素樹脂では今までできなかった調理法もお楽しみいただけます。料理は火が通れば良いだけではありません。強火も弱火も使えてこそ調理器具です。

フッ素は貴重な資源です。これの有効活用のためにも、リサイクルに問題が多いフッ素樹脂フライパンはそろそろやめませんか?

過去紹介したEMMARINIのコーティングの特徴ハイライトです。

1.沸騰水道水で黒染めして描画してから、コーティングで保護します。

写真をクリックしていただくと黒染めマニュアルのページにジャンプします。このようなデザインがステンシル技法で簡単にできます。

この黒化はアルミ鍋が自然に黒くなる現象(水道水中の鉄とカルシウム分がアルミと化学反応してできるごく薄い膜形成)でWHOで安全性が確認されています。

沸騰水道水でアルミフライパンに黒くマンダラ模様が現われてきます。ステンシル技法でコーティングし、コーティング部分は染まりません。

2.予熱をすればこびりつきません。

冷凍ギョーザを焼いてみました。予熱(250~290℃、SIセンサー稼働)をしておけば油なしでもくっつきません。高温調理なのでパリッと感が違います。

くっつかない理由は、表面吸着水の脱着とライデンフロスト効果が利用できるためです。ライデンフロスト効果とは熱したフライパン上では水滴が蒸発によるジェット噴射で空中に浮遊して撥水どころか水玉になる現象です。グラフのように300℃でこの効果が最大になるため、実際食材は浮遊こそしませんが、引きはがす力が作用するためくっつきにくくなります。食材がくっつくのは最初の接触ですので、あとは弱火にして焦げないようにします。フッ素樹脂をこの温度に熱すると分解してしまいますし、アルマイトではひび割れしてしまいます。

図 ライデンフロスト効果のグラフ。水滴の蒸発時間は、150℃で最小になり、300℃では極大になる。

他にも、くっつかない方法として、フライパンの外底を濡れた布巾で急冷することがあげられます。アルミ基材と食材の熱膨張率と熱伝導率差によって食材が剥がれやすくなります。フッ素樹脂やアルマイトでは基材と食材の間ではなく、基材と表面処理剤の間に剥がす力が発生して剥離してしまいますのでこの方法は使えません。

3.親水性でお手入れ簡単

左半分がアルマイト、右半分がアルマイトを剥がしてからEMMARINIのコーティング処理をしました。ミートソースを調理してから水洗いしたところです。アルマイトでは残渣がひどくこびりついていますが、EMMARINIのコーティングではきれいになります。
左半分がコーティング、右半分が無垢のアルミです。油性マーカも水拭きで落とすことができます。

4. 長年の課題フライパン外側の油焦げ落としも楽になりました

内側はお湯を沸かせば油の焦げ付きも比較的お手入れは楽なのですが、外側は、お湯を沸かせないので、そう簡単にはいきません。ガチガチに焦げ付いた油焦げにはキッチンハイターなどの漂白剤の原液(強アルカリ性、塩素系酸化剤と界面活性剤)で分解はできるのですが、鉄、ステンレス、アルミなどの金属を腐食してしまいますのでセラミックスにしか使えません。EMMARINIのコーティングは薄いセラミックスなので使用可能です。写真のように、塩素系漂白剤を外側の油焦げに塗ってラップでパック、室温で一晩放置してメラミンフォームでこするとかなりきれいになりました。塩素系漂白剤の取り扱いには保護メガネと手袋を使ってくださいね。

5.アルミ板にも処理可能です。

ステンシル技法で模様の白黒逆転ができます。これをキッチンカウンターに使っています。鉛筆硬度9Hもあるので傷がつきにくく、油汚れも簡単に落とすことができます。また、冷凍食材の解凍もこの上では早くなります(熱伝導が大きいため)。

種々コーティングの応用と技法についての記事を本ブログに紹介しています。

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