ご自身で絵付けと成型ができ、加熱と冷却調理にも使え、食洗器でお手入れもできるという、いままでなかった多機能アルミ食器です。

こんにちは。当ブログEMMARINIでは、廃棄時の環境負荷が大きいフッ素樹脂を使わずに済むように、特許取得の透明セラミックコーティング技術を紹介しています。前回のブログでは、この技術を使った表題の多機能アルミ食器について紹介しました。今回は、このアルミ食器本体のブログショップ販売のご案内と、ブログをご覧いただいた方ご自身がオリジナル作品を制作していただけるよう、コーティング液についてもご紹介したいと思います。

オリジナル作品の例です

クリスマス用のトレイを作ってみました。油性インキで描いた絵がマスキングとなってアルミの黒色化が起こらないため銀色のまま残ります。
和風柄を曲げると風合いが出てきます。
両者並べてみました。曲げでできる波様と光の反射の形がおもしろみになります。お好きなように曲げてください。絵柄と成型の両方の創作を楽しむことができます。

ブログショップでは、装飾済みで曲げる前の平板状態のアルミプレートを販売しています。沸騰水道水による黒化反応で黒染めた模様を描いています。サイズは20cmx20cmで厚さは1㎜です。独自の模様を自分で描きたい、別のサイズの物が欲しいとおっしゃるお客様には、作品制作に必須の透明セラミックコーティング液を販売しています。アルミ基板などの他の部材はどこでも調達できます。

コーティング液をご購入いただき、ご自身で制作を希望される方のためのマニュアルです。

1.アルミ基板の調達

アルミニウム板には多くの種類のアルミニウム合金があり、どれが最適とは言い切れません。ただ本食器の機能に加熱調理がありますので、加熱でフニャフニャになりすぎる純アルミはいかがなものかと個人的には考えています。そこで標準的アルミニウム合金A5052をお勧めしたいと思います。厚さ1㎜は硬めで曲げにはペンチが必要です。0.5㎜だと曲げは簡単ですが、軽すぎるかもしれません。2㎜を曲げるには相当力が必要です。

アルミ基板の例です。本ブログではここから収益を得ています。

2.アルミ板の洗浄

アルミ板には保護シートのりや油などの汚れがついています。これは完全に取り除く必要があります。

洗浄には弱アルカリ性の洗剤と、#240程度の研磨剤入り不織布を使います。傷はつきますが、これがテクスチャにもなり、コーティングの密着性を向上させます。エッジで手を切らないようにお気を付けください。やすり掛け推奨です。

個人的好みですが、私は#1000で仕上げます。好みでピカールにてピカピカにしていただいてもかまいませんが、作業が大変でコーティングの密着性は下がると考えられます。研磨残渣をきれいに取り除いて乾燥してください。反対側も同じように洗浄してください。

3.絵つけマスキング

油性インクで図柄や文字を描きます。これが黒染めのマスキングとなるため、沸騰水でも剥がれない強力な油性インクが必要です。耐洗濯性のネームペンやラッカーがお勧めです。絵付け後は、インク残りと手垢は溶剤と洗剤で取り除いてください。

4.沸騰水道水による黒色化反応で黒染め

アルミ板を大きめの鍋に入れます、反対側も水に接触するように四隅をクリップで止めて宙に浮くようにしています。黒色化にはミネラルが必要ですので水道水を使ってください。どのような黒になるかは水次第と考えています。これがお楽しみです。
お湯が沸騰してくるとアルミが黒くなってきます。重曹を一つまみ入れると黒が濃くなりますが、入れすぎると逆に白くなったしまいます。まずは何も入れないで60分沸騰から始めてはいかがでしょうか?
適当なところでお湯から出します。黒色化反応は油性インクほどには黒くはなりません。溶剤(ラッカー薄め液や、除光液)で油性インクのマスキングを取り除きます。
有機溶剤でマスキングを取り除いたところです。元の絵と白黒反転します。
水垢でざらついていますので、クエン酸と中性洗剤で取り除きます。これで黒染めは完了です。

5.透明セラミックコーティングで表面処理

ブログショップで販売の透明セラミックコーティング液を塗布します。容器のスポンジヘッドで塗っていきます。液は弱アルカリ性の水溶液ですので、保護手袋と保護メガネは必ずご着用ください。
コーティング液はティッシュペーパーで良く広げて塗り残しがないようにします。過剰の液はふき取ってしまいます。一度に厚く塗ると後で白くなってしまいますので、余剰液は必ずふき取ってください。うすく重ねるのが塗布方法のコツです。

ふき取ったらドライヤーの弱で軽く乾かしてください。

再び透明セラミックコーティングを塗布します。ティッシュぶき、ドライヤー乾燥のサイクルを3~4回繰り返してください。反対側も同じように処理します。
塗布したコーティング液を加熱して硬化させます。Siセンサー付きガスコンロでは250℃で制御されます。約5分弱火で加熱します。オーブンでは250℃に予熱して10分間焼き付けてください。魚焼グリルでは300℃越えになりますので、2~3分で十分です。冷えれば完成です。

6.曲げて成形します。

四隅を曲げてトレイにしようと思います。ペンチかプライヤーで曲げますが、傷がつかないように紙をはさんで曲げるのが良いと思われます。力持ちの方は手でも曲げられると思いますが、手を切らないように軍手を着用してください。
隅の部分は45°に曲げると液体がこぼれなくなります。やや難しいですが、両方から少しづつ曲げて行って、45°に合わせるようにします。一度に曲げるとうまくいきません。やっているうちにきっとうまくできます。
これでトレイの出来上がりです。
曲げで反対側が膨らんでがたつくときは、押し込んで窪ませると安定します。

ご覧いただきありがとうございました。今までの陶芸と板金ではできなかった全く新しい器の作成方法になります。透明なセラミックコーティングとアルミでどこにもない両者のいいとこどりができますのでぜひお楽しみください。