脱フッ素でSDGsな鉄フライパンを楽しく、使いやすく。

前回と前々回の投稿では鉄フライパンが加熱されると、銀→茶→紫→青→黒と色変化する現象を利用して絵や文字が描けることを紹介しました。これら描画をゾルゲル法と呼ばれる薄く透明にコーティングする技術を用いてジルコニアセラミックスで保護しました。

今回はこのジルコニアセラミックスコーティングによって、どの程度鉄フライパンがさびにくく、食材がくっつきにくくなるかを紹介したいと思います。

まずは鉄フライパンの半分をジルコニアコーティング処理しました。

市販の鉄フライパンのシリコーン樹脂を研磨で取り除いてから、バーナーで空焼きし、その半分にジルコニアコーティング液を塗布してガスコンロで290℃に加熱しました。写真右半分の猫の足跡マークのある方がジルコニアコーティングしたほうです。左半分は鉄がむきだしたままの状態です。

このフライパンでミートソースを作りました。

トマト入りのミートソースです。トマトの酸で鉄が浸食されるため、「鉄フライパンでミートソースは作るな。」が鉄則ですが、今回はあえてこの過酷条件にしました。

ミートソースを取り出してみると

左半分の鉄ままの部分では思い切りこげつきました。右半分のジルコニアコーティング部分はほとんどくっつきませんでした。

亀の子たわしで水洗いしました。

左半分は全くきれいになりません。コーティング部分はきれいになりました。

水を入れて沸騰させてみました。

鉄フライパンでお湯を沸かすのは錆びるので厳禁とされていますが、これでようやく焦げ付きを落とすことが出来ました。左半分の鉄ままの部分はぼこぼこしています。トマトの酸にやられたのではないかと思います。

さらに1日後

鉄ままの部分は錆びて茶色くなってきました。ジルコニアコーティング部分は異常なしです。

フッ素樹脂コーティングフライパンは処分時の環境負荷が大きいため、SDGsにふさわしくありません。鉄フライパンは強火も可能でリサイクルも容易ですが、くっつきやすさと錆の問題があります。

そこで環境にやさしい、ジルコニアセラミックスコーティングはいかがでしょうか?フッ素は一切含まれていません。

鉄分補給はあまり期待できませんが、シーズニングされて「良く育った」フライパンも同じことです。錆びたフライパンで鉄分をとってもおいしくないのではないでしょうか?