当ブログEMMARINIでは、環境にやさしいものづくりを大切にしています。
廃棄時に負荷の大きいフッ素樹脂を使わずに済むよう、独自に開発した透明セラミックコーティングをご紹介しています。
この技術はすでに特許を取得し、どなたでも活用いただけるよう公開しています。

まずは作品例をご紹介します。
酒器づくりは「鍛金」「染色」「透明セラミックコーティング」の手順で進めますが、特別な道具は必要ありません。

ご家庭にあるもので十分です:

  • ガスコンロ
  • 金切りばさみ
  • ハンマー
  • サンドペーパー

もし鉄アレイがあれば、さらに作業がスムーズになります。

黒染めした片口酒器とぐい呑みです。
深みのある黒はまるで陶磁器のようですが、手に取るとその薄さと軽さ、そしてアルミならではの冷んやりとした質感が際立ちます。冷酒を注げば、唇に伝わる涼やかな感覚が一層際立ち、至福のひとときを演出してくれます。
次は金染めを施した作品です。
金色に黒と銀が溶け合い、まるで燻した金属のような渋みと高級感が漂います。金属光沢ははっきりとしていて、手に取る人からは「これは何でできているの?」と驚きの声が上がるほどです。
こちらは金色に染めた「酔鯨」の大呑器とぐい呑みです。
ぐい呑みは左から銀、青、ピンクの彩りを添えています。青とピンクはごく淡い色合いです。酒好きの方には、豪快さと華やかさを兼ね備えた器として楽しんでいただけるでしょう。
酒器の側面や裏側も、表現のキャンバスになります。
造形の美しさに加え、絵柄や色を加えることで作品はさらに個性的に。透明セラミックコーティングが表面を覆っているため、模様は長く保たれ、日常使いでも安心です。

酒器づくりには特別な装置や専門的な知識は必要ありません。
ご家庭にある道具で、趣味として気軽に楽しめます。初めての方でも安心して挑戦できるのが、このDIY酒器の魅力です。

1.アルミ板の準備
ホームセンターや通販で純アルミ(1000番台)の板を入手しましょう。厚さは1~2mmがおすすめです。薄いほど加工は楽ですが、厚いほど質感が良くなります。

板をガスコンロで約400℃(中火で2~3分)加熱し、空冷します。これを「焼きなまし」と呼び、アルミが柔らかくなり加工しやすくなります。初めての方は直径10cm程度のぐい呑みから始めると良いでしょう。ホームセンターや通販でアルミ板を入手します。アルミ板は、金銀銅錫などの鍛造食器用け金属に比べてるとはるかに安いのでお手軽です。

 2.鍛金
アルミ板を木の板に置き、ハンマーでトントンと叩いていくと、少しずつお椀の形になっていきます。形が変わっていく瞬間は、ものづくりの醍醐味を感じられる工程です。深い器にしたい場合は、鉄アレイの球形部分にかぶせて外側からたたいて利用すると効率的。初心者でも、ゆっくり叩きながら形を整えることで、美しい酒器に仕上がります。鍛金の詳しい技法はネットに豊富に紹介されていますので、参考にするとさらに上達します。

3.研磨
形が整ったら、研磨して金属光沢を出しましょう。初心者の方には、180番程度の粗めの研磨がおすすめです。作業が楽で、光が乱反射するため全体が柔らかく輝いて見えます。もちろん、2000番以上の細かい研磨や鏡面仕上げを目指すことも可能です。ただし作業は大変で、光り方も直線的になります。どちらを選ぶかは好み次第──自分らしい輝きを探してみてください。

4.洗浄
研磨の後は、表面の汚れをしっかり落としましょう。酸性洗剤(例:サンポール)とアルカリ性洗剤(例:住居用洗剤)を使うと効果的です。

⚠️ 注意:アルミは酸にもアルカリにも弱いため、洗剤をつけっぱなしにすると白く変色してしまいます。その場合は研磨からやり直しになってしまうので、必ず速やかに洗浄してください。

5.描画
器に模様を描くときは、油性マーカーで自由にデザインしてみましょう。これはマスキングとして機能し、完成品にインクが残ることはありません。幾何学模様や自然のモチーフ、文字など、アイデア次第で作品はぐっと個性的になります。描く楽しみも酒器づくりの大きな魅力です。

6.黒染め
アルミを黒くするには、器を沸騰した水道水に浸すだけ。使い込んだ鍋やフライパンが黒くなるのと同じ現象です。鉄分やカルシウムがアルミ表面に反応して層を作り、深みのある黒色を生み出します。なぜ黒く見えるのかは科学的にまだ謎が残っていますが、安全性は国際的にも確認されています。まさに「不思議で安心な」工程です。

模様を反転させたい場合は、マスキングをしたまま浸漬し、黒染め後に除光液でマスキングを外すと、模様部分だけが白く残ります。シンプルな方法で、器に独自の表情を加えられます。

白黒反転しない場合は、後述の透明セラミックコーティング液をマーカーの上から塗布してください。コーティング液はマスキング部分には乗らず、アルミ部分だけに乗ります。マスキングを除光液で取り除いた後(コーティングは除光液には溶けません)、ガスコンロで250℃以上に加熱してください。これでコーティング液が固まりアルミに密着します。さらにこの作品を沸騰水道水に浸漬すると、今度は透明セラミックコーティング液の乗った部分は黒く染まらず、マスキングがかつてあった部分だけが黒く染まります。これだと白黒反転しないで黒染めできます。

7.透明セラミックコーティング処理
アルミは加工しやすく美しい金属ですが、そのままでは白錆や汚れが付きやすいという課題があります。そこで役立つのが、EMMARINI独自の透明セラミックコーティングです。

このコーティングは食品衛生法に適合した安全な成分だけを使用しており、塗布して加熱するだけで表面を保護できます。黒染めや無垢のアルミも長く美しい状態を保てるのが特長です。

さらに親水性があるため汚れが落ちやすく、直火・オーブン・グリル・食洗機(中性洗剤推奨)にも対応しています。
⚠️ 注意:アルミ素材のため、IHや電子レンジには対応していません。

手作りの器には、日々の時間を少し特別にしてくれる力があります。ぜひご自身の手で形にして、そのひとときを楽しんでみてください。