アルミは安価で軽く、曲げや鍛造での工作も容易で、磨けば安物とは言わせないような美しい光沢も得られます。難点は腐食対策でしたが、EMMARINIオリジナルのコーティングで、アルマイトや樹脂塗装にはない耐食性、耐熱性と防汚性なども得ることができます。
こんにちは。当ブログEMMARINIでは、廃棄時に環境への負荷が大きいフッ素樹脂が少しでも削減されることを願い、調理器具や食器用にも使用できる透明セラミックコーティング(特許取得済み)を紹介しています。今回は、ちょうど100回記念ですので、初公開のアルミの色染めについて紹介したいと思います。
アルミ表面を保護してカラー化するには通常アルマイト処理か樹脂塗装を行います。しかし、アルマイト処理には専門知識と装備が必要でDIYにはハードルが高くなります。さらに、アルマイト被膜はある程度の膜厚がないと十分に機能せず、その膜厚にすると100℃以上の熱や曲げ加工するとひび割れが発生する問題があるため、フライパンやオーブン用には適しませんでした。もう一方の樹脂塗装は低温一般用途向けには手軽なのですが、調理器具や食器用途になると、耐熱性のほか残留モノマー問題がありますので、やはり手軽にとは言えませんでした。
EMMARINIの透明セラミックコーティングは、250℃以上の焼き付けが必要ですが、人畜無害のシリカでできており食品衛生法に適合しています。250℃はご家庭のコンロ、グリル、オーブンで到達しますので特別な装置は不要です。また、フッ素樹脂塗装の限界温度260℃を超える300℃にも耐え、有害ガスも発生せず、薄いがゆえに急熱急冷でもひびわれしにくく、曲げ加工にもある程度は追随します。さらに鉛筆硬度は最大9Hで傷がつきにくく、親水性ゆえに汚れが落ちやすく、食洗器にも対応できます(中性洗剤推奨)。今回はこのEMMARINIのコーティングを使って色染めする方法を紹介します。
1.今まで紹介してきた沸騰水道水による黒染め
無垢のアルミ鍋などでお湯を沸かすと黒くなることは良く知られています。これは水道水中のカルシウムや鉄などがアルミと化学反応して層を作るためですが、なぜそれが黒く見えるかは未だ解明されていません。しかし、この黒の安全性については全くの無害であることはWHOでも確認されていますので、安心して使うことができます。この黒色をデザインに使うためには、EMMARINIの透明セラミックコーティングで保護する必要があります。何もしないとトマト料理(pH4程度)分解してしまいます。まずは、黒染め作品例として、鍛金で作成したぐい呑みの写真を載せました。

2.赤と青の食用色素をコーティング液に加えて塗装します。一層目は色素入り、二層目は色素のないクリアの二層構造にします。

青と赤のぐい飲みを作りました。淡い着色で金属光沢を残すことができます。
食用染料はアルミニウムレーキ粉末を用いました(漆塗りにも使われているように食器用途に使用可能です)。レーキはアルミ本体と同様コーティング液のシリカと化学的な結合が期待できます。添加量は1%が上限で、色を濃くしようと添加量を増やしてもコーティングはぼろぼろになるだけです。また、逆に塗り重ねて厚く濃くしようとしても、亀裂で白くなってしまいます。つまりは濃色は不可能と思われます。乳鉢でよく混ぜた後。ティッシュペーパーで濾して使用します。
塗装と焼き付けは、図のように2回(2コート2ベーク)行います。一層だけでは染料がむき出しになりますが二層構造にするとほとんど色抜けがなくなります。

3. 黒染めと併用するとさらに描画による独自のデザインが可能になります。

油性マーカーで模様を描いてから黒染めし、マーカー除去後に染料入りコーティング液を塗布します。250℃より低い温度で一旦数分加熱して仮固定してから、染料のないコーティング液を塗布します。やさしく塗布しないと染料が離脱するので注意が必要です。2層塗布したのち250℃で加熱して出来上がりです。。
4.多色化も可能です。

黒をバックに、青、赤、紫(赤と青を混ぜる)と色のない銀を筆を用いて塗り分けました。色を使い分けるとデザインの幅が広がります。これらも2コート2ベークになります。