アルミフライパンを沸騰した水道水で黒染めします。環境負荷の大きいフッ素樹脂は使いません。仕上げに透明セラミックコーティングで保護すると強火でも使用可能でお手入れが簡単になります。作品例をご覧ください
今回は、簡単にアルミフライパンを黒染めして絵を描く方法を紹介します。黒染め染料を使うわけではありません。アルミ鍋が黒くなっていく、どちらかというと汚れてしまう性質を逆に利用します。この黒化現象は、水道水中の鉄分やカルシウム分といったミネラルがアルミニウム表面に薄く沈着して黒く見えるもので、安全であることはWHOでも証明されていますのでご安心ください。多くのアルミ調理器具メーカーがこれについては説明されていますのでホームページでご確認ください。もしも、これが毒だとしたら水道水もアルミニウムも毒ということになってしまいますね。このブログでは、廃棄時の環境負荷が大きいフッ素樹脂が少しでも削減されることを願っており、それを目的としています。それでは工程順に説明していきます。
1 アルミフライパンの準備
アルミフライパンを用意します。新品ならば洗うだけで使えます。中古品で汚れている場合はワイヤーブラシ、サンドペーパーあるいは研磨剤入り不織布などで汚れを事前に完全に落としてください。仕上げはサンドペーパーの240~600番程度が適切です。アルマイト加工製品はアルマイト被膜を完全に取り除く必要があり、結構時間がかかってしまいますのであまりおすすめできません。フッ素樹脂やセラミックス加工品、ステンレスや鉄などのほかの金属では対応できません。
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イタリア、バッラリーニ社製のおしゃれで小さくてかわいいアルミフライパンをご紹介します。直径わずかの14㎝で、スキレットという感じで、柄は金色の真鍮です。絵柄があるとそのまま食器として使えそうです。小さくて取り扱いやすいので絵付け制作におすすめします。大きいフライパンだとそれを浸すことができるもっと大きな鍋が必要になってしまいます。アフィリエイト広告を利用したリンクを上記に貼っておきますのでご参考にしてください。
その他ご用意いただくものリスト
ネームペン(油性)、除光液、メラミンフォーム、研磨剤入り不織布が片面についたスポンジ、中性洗剤、重曹 これらはすべて100円均一ショップで入手できます。
フライパンが入る大きな鍋。
再生する場合はワイヤーブラシとサンドペーパー(80番と240~600番)、クエン酸。
2.描画
描画の前にアルミフライパンは中性洗剤(原液)とメラミンフォームでよく洗います。上の写真のようにメラミンフォームが真っ黒になるほど汚れています。汚れが残っていると均一に黒染めできません。すすいだ後は水分をふき取っておきます。もしも汚れが残っていてすすぎの水がはじいてしまう場合は、研磨剤入りスポンジで表面を少々荒らし気味に磨いて、もう一度中性洗剤とメラミンフォームで洗ってください。
絵は油性のネームペンで描きます。ネームペンは耐熱水性があり水をはじきますのでマスキングすることができます。このマスキングされた部分は黒く染まりません。下の写真は転写紙を使った場合の描画の一例です。お好きなようにご自由なデザインの描画をお楽しみください。
3 沸騰水道水で黒染め
描画したフライパンを大きい鍋に入れ、水道水に浸して沸騰させます。重曹をひとつまみ入れると黒化が促進されます。精製水ではミネラル分がないため黒化しません。衛生上の問題から必ず飲料水をお使いください。お住いの地域によってどのような発色になるか楽しみです。
ここで小休止しましょう
このフライパンを調理に使わず、装飾品とするならばこのままでもかまいません。もし調理に使われる場合は、濃いめ米のとぎ汁を10~20分間煮込んで被膜をつけてください。そうしないと銀色の部分が沸騰水に触れると黒くなるために描画が消えてしまいます。
追 描画に失敗した場合の再生方法
もしも黒染めに失敗したり、描画が気に入らない場合は再生してリセットできます。前述の黒染めした鍋に再生したいフライパンを入れて浸し、今度はクエン酸(5%濃度程度)を加えて沸騰させてください。数十分で黒化部分が溶けて元のアルミ表面が現れます。仕上げは、サンドペーパー(240~600番程度)か研磨剤入り不織布たわしで黒化を完全に除去してください。これで振り出しに戻ることができます。
次回は頑丈な仕上げの透明セラミックコーティングをご紹介します。
米のとぎ汁の被膜はあまり丈夫ではありませんので、数回使うとなくなってしまうためこの処理を繰り返す必要があります。これが面倒なので、当BLOG EMMARINIでは独自の透明なセラミックコーティングを使って表面処理しています。これは食品容器ポジティブリスト記載品で公的機関試験でも安全性が確認されています。次回の記事ではこれについて紹介します。