脱フッ素コーティングでSDGs! 環境負荷の大きいフッ素コーティングがない鉄フライパンでもご飯粒をくっつかせない方法があります。

当ブログエマリーニでは、廃棄時の環境負荷が大きいフッ素樹脂を使わなくてもお手入れが簡単なフライパン(鉄、アルミ、ステンレスにセラミックスを薄くコーティングする技術)を提案しています。今回はパエリアをフッ素樹脂コーティングのない鉄フライパンでもご飯粒をこびりつかせない方法を紹介します。

パエリアづくりの基本方法(スペイン流レシピ)

 たっぷりの油を使って具材を炒める(米は洗わないで、すべての具材とフライパン表面を油でコーティングすることによりこびりつかなくさせる)

② 蓋をしないで、弱火で焦げないように加熱(芯を残すため)。

③ 仕上げに、蓋をしないまま強火で余分な水分を飛ばし、おこげをつくる。蓋をしないまま冷ます(蒸らさない)。

この方法の②と③だけを見ると「蓋をしない」と「蒸らさない」は典型的なご飯がこびりついてしまう条件です。なぜならば、水分が飛んでしまって、お米から出てきたでんぷん糊が蒸発乾固し、がっちりとフライパンの表面にこびりつくためです。②と③は、ご飯炊きに慣れた日本人にはずいぶん違和感がありますね。

そこでこの問題を避けるために①の油が非常に重要になるわけです。油が足りないと、ご飯粒がこびりついてしまいます。しかし、油をタップリ使うと健康によろしくないので、つい節約してしまいそうです。

これらの違和感から多くの方が、日本流にお米を研いで蓋をして蒸らすパエリアレシピを公開されています。これは、日本人としては大いに理解できると思いますが、ここは本場スペイン流を尊重しながら、たとえ油が足りずともご飯粒が鉄フライパン表面にこびりつかなくなる方法を紹介します。

ご飯粒がこびりつかないようにするには、フライパンが熱いうちに外底を水で急冷する!

やることはこれだけです。でんぷん糊によってご飯はフライパンの表面にくっついていますが、フライパンの外底を冷却すると金属は熱をよく伝える(熱伝導率が大きい)ため全体が収縮します。一方ご飯粒は熱伝導率が金属よりもはるかに小さいため冷めにくく、ほとんど収縮しません。このときの収縮率の差で接着面に引きはがす力が生じます。急冷するほど一気に力が集中してより剥がれやすくなります。徐々に冷ますとこの熱衝撃が小さくなってしまいますのでポイントは、「鉄は熱いうちに冷ませ」ですね。また、急冷によりご飯中の一部水蒸気が接着面に結露して水膜になり、こびりついたご飯がさらに剥がれやすくなることも期待できます。

実験してみましょう。パエリアではなく、予備実験として、通常の白米を、研がず、蓋をせず、蒸らさずに炊飯しました。

実験では、故意に条件を厳しくするために油は使いませんでした。つまり、研がないで、水をを入れてから直ちに蓋をせずに炊いて、蒸らさないという典型的なこびりつく条件です。

写真左はご飯が炊けたところです。右は、しゃもじですくってみたのですが、予想通り、ご飯粒はしっかりと底にくっついていました。これは当然の結果です。

次に同じようにご飯を炊きましたが、今度はフライパンが熱いいうちに、外底を急冷しました。急冷と言っても、濡れふきん(水をたっぷり吸わせている)にフライパンを置いて、ジュ―という音がしなくなるまで冷やすというほんの数秒の操作です。

写真左は、おっかなびっくり、半分だけ茶碗にご飯をよそったところです。ご飯は少々焦がしてしまいましたが、フライパンにはくっついていなさそうです。右は、全部よそったところです。かなり焦げてはいましたが、ご飯はフライパンにはほとんどくっついていませんでした。うまくいったようです。

今度は、本命パエリアを作ってみました。鉄パエリアパンを予熱し、油を引かずにチキンを炒め、出てきた油で乾いたままの米と玉ねぎを炒めて、蓋をしないで具材(貝など)と水を加え弱火で炊きます。仕上げは強火で余計な水分を飛ばして焦げを作ります。

左の炊き上がったパエリアのパンの外底を濡れふきんの上にのせて、ジューッという音がしなくなるまで急冷しました。右の写真は中央部をしゃもじですくったところです。猫の模様の首のところは温度が高くて焦げていますが、ご飯粒のこびりつきはなさそうです。

左はパエリアをすべてよそったあとですが、中央部は焦げてはいますがご飯のこびりつきはほとんどありません。右のように焦げもメラミンフォームで落とすことができました。鉄製パエリアパンでも外底の急冷でこびりつきがなくなることが確認できました。

このフライパンの底の急冷は、パエリア以外の料理にもこびりつき防止に大いに利用できます。炊飯もできるくらいですので、このコツさえつかめばフライパンにフッ素樹脂はもう不要ではないでしょうか?。

今回使った鉄フライパンです。エマリーニでは、鉄フライパンの面倒な油まわしの代わりに透明なジルコニアをコーティングしています。油回しよりも長持ちして錆防止効果も大きく、鉄フライパンの加熱による色変化(酸化膜形成)を安定化するため描画デザインもできるのが特徴です。詳しくはメニューから「鉄フライパン」へ移動してご覧ください。