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ブログEMMARINIでは、ゾルゲル法親水性セラミックコーティングによって、水洗いだけで汚れを落とすことができる親水性コーティング技術を紹介しています。ステンレス、アルミニウム合金、メッキなどの金属への処理が可能で、実用例として、フライパン、シンク、水栓金具を過去のブログで紹介してきました。今回は、油汚れで手入れが厄介なレンジフード用、キッチンパネル用のアルミニウム板に親水性コーティング処理しました。コーティング液は黒と透明を用いてマンダラ模様をデザインしました。

ゾルゲル法によるセラミックス親水性コーティングは、常時水やお湯に接触する用途には高温で焼き付ける必要がありますが、今回のような時々水洗いだけするような用途には常温硬化(自然乾燥)で充分です。特にアルミニウムとの密着性が優れているのが特徴です。樹脂系塗料の内装と同じような用途に適します。

アルミニウム板にステンシル技法でマンダラ模様を描きました。

黒顔料を加えたコーティング液でまずマンダラを描き、次に透明コーティングで全体を覆います。室温で3日乾燥しました。マンダラの中の白く見える部分はアルミの金属光沢です。右端の帯状部分は、比較検討のための塗装のないアルミニウムままです。

油汚れの水洗い動画です。

牛脂を熱で溶かして、見えやすいように朱色インクを入れました。牛脂をマンダラの親水性部分とアルミままの境界付近に流して自然冷却して固めます。その牛脂にシャワーで水をかけると、マンダラのある親水処理部分ではかなり取り除かれ、スポンジでこすると完全に除去することができました。コーティングが剥がれることはありませんでした。しかし、アルミままではシャワーでは流れない上に、スポンジこすると余計に広がって悲惨なことになりました。

レンジフードの整流板に張り付けてみました。

レンジフードの整流板い張り付けたところです。

レンジフードはキッチンで最も油汚れがひどいところです。この整流板はフッ素樹脂コーティングがしてあるのですが、油汚れの手入れで、濡れた雑巾や紙でふき取ろうとしても水をはじいてしまうためきれいにならず、逆に汚れを広げるだけです。結局、取り外して洗剤で洗い流さなければなりません。ただし、最近はフィルターには親水処理されたものがあるようです。フィルターだけでなく、全体も親水処理してもらえば良いのにと思われます。常温硬化でアルミ系めっき鋼板にも密着しますし、描画デザインも可能です。フッ素樹脂コーティングでは役に立ちません。

後は、親水性コーティングと、アルミニウムまま、元のフッ素樹脂コーティングをしばらく放置してから比較してみたいと思います。

約半年経過後の結果です。

半年経過後の状態です。中央のマンダラの絵があるところが親水コーティング処理で、その左側が元のフッ素樹脂コーティング、右側がアルミニウム基板のままです。手で触ってみると全体が油汚れでべたついているのですが、写真ではよくわかりません。
油汚れを見えるようにするため、オイルレッドという染料とともに、全体を水で濡らしたメラミンフォームでこすり洗いしてから水分を拭きとりました。残った油汚れが赤く見えます。

上の写真からわかるように、マンダラのある部分はほとんど赤くなっていません。これは油汚れが取り除かれているためです。右のアルミニウムままの部分は多少赤くなっており、油汚れが残っています。しかし、問題は、フッ素樹脂コーティング部分が最もひどく汚れが残っていることです。これは、意外な結果のように思われますが、当たり前です。フッ素樹脂は水をはじく性質がありますので、水で汚れをふき取ろうとしても、水がフッ素樹脂と汚れの間に入り込むことができないために汚れが浮き上がらないのは自明です。固まった汚れならばこすれば剥がれるのですが、ねっとりと粘着質の油汚れを剥がすことはできません。逆に親水性の表面の方が、水が油汚れの間に入り込もうとするため、汚れが落ちやすくなります。

ご検討いかがでしょうか? 下記の「工業用親水性ゾルゲルコーティング液にご紹介」ボタンをクリックしてください。

参考文献

レンジフードフィルターの親水性コーティング既製品

アクアスリットフィルタ