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 アルミフライパンにゾルゲルコーティングを使って絵を描くことを紹介してきました。このフライパンは実際の料理に使うこともできます。今回は、この安全性について調べました。

沸騰水連続浸漬では少なくとも1ヵ月コーティングがなくなるなどの異常はありませんでした。

基材のアルミフライパンは日本国内流通品です。

日本国内で流通しているフライパンには規格があり、合格品のみが流通しています。このブログでの作品の基材に使うのは、長年の実績があるきちんとしたメーカー品で、取扱説明書もしっかりとしているものを選びました。もちろん、強さだけでなく、毒物が溶出してくることもありません。作品活動は描画だけですので、これでフライパン基材の物理的強度が低下するとはありません。

コーティングにも規制があります。

一般のフライパンは、フッ素樹脂やホーローもしくはセラミックスがコーティングされることが多いので、こちらにも規制があります。特に、フッ素樹脂には非常に危険なPFOAとPFOSと呼ばれる物質が使われることがあり、もしもフライパンにこのようなものが使われていると大変です。また、ホーローやセラミックスにも有害な鉛とカドニウムが含まれているとフライパンに使うことができません。

ゾルゲルコーティングは、ホーロー、セラミックスの仲間になります。

このブログで紹介しているゾルゲルコーティングには樹脂(有機物)は一含まれていません。理由は、300℃近辺でも使用可能であることが目的で、これに長期間耐えられる樹脂は存在しないためです。樹脂の中で最も耐熱性があるのがフッ素樹脂かシリコーン樹脂で、それでも耐熱温度は260℃しかありません。作品に用いたゾルゲルコーティングは、完全に無機物からだけでできているため、ホーローやセラミックスに分類されます。

ホーロー、セラミックスの規格は鉛とカドニウムの溶出試験です。

鉛やカドニウムのような重金属はホーローを基材によく密着させるためと発色のために使われてきました。しかし、毒性が強いため少なくとも食品と接する容器に使うことができなくなりました。本ブログで使うゾルゲルコーティングは、鉛を使わなくても済むように発展してきた技術でもあり、発色も水道水を沸騰させる方法ですので、重金属を使う必要は全くありません。さらに、念を入れて公的機関に試験依頼もしました。試験は、厚生省告示第370号の規格に従って実施してもらえます。結果は適合で、安全が確認されました。証明書の写真をのせます。

原材料は厚生労働省設定のポジティブリストから選ばなければなりません。

令和になって規制がさらに厳しくなり、食品容器材料は厚生労働省が定めるポジティブリストからのみ選ばなければならなくなりました。今までは、使用禁止品が示されているネガティブリストがあり、ここに記載されている化学物質の使用が禁止されていました。しかし、これではリスト未掲載の未知物質は使用可能ということになってしまいます。これは危険です。そこで、安全性が既に確認されている物質のみがポジティブリストに記載され、この中の物質のみしか使用できないことになりました。これは、作る側にとってはかなり厳しく、消費者にとっては安心できる規制になります。

ゾルゲルコーティングはポジティブリスト記載品からのみ作りました。

ポジティブリストには、樹脂と顔料や骨材として添加する無機物も記載されています。このブログに使うゾルゲルコーティングはこのポジティブリストに記載されている添加用無機材料からのみ作りました。これで安全性は大丈夫と考えられます。また、基材のアルミニウムにはアルツハイマー病の原因とする説がかつてありましたが、現在は否定されており、各国で規制もされていません。沸騰水道水による天然黒色も安全性が確認されています。

厚生省告示第370号に基づく試験結果証明書

以上の結果から本ブログの絵を描いたゾルゲルコーティングアルミフライパンは安心して使えることがわかりました。

参考文献