エクステリア製品に広く使われる素材といえばアルミですが、従来は防食性を確保するためにアルマイト処理が不可欠でした。しかし、この処理は専門的な設備や技術を要するため、一般のDIY愛好家には敷居が高いものでした。EMMARINIでは、この課題を解決するために、誰でも扱いやすく、かつ高い耐候性を備えた透明セラミックコーティング液を独自に開発。これにより、アルマイト処理なしでも、屋外使用に耐えるアルミ素材の仕上げが可能となりました。
こんにちは。当ブログ「EMMARINI」では、廃棄時に環境負荷の高いフッ素樹脂(PHAS)を使用せずに済む、独自開発の透明セラミックコーティングをご紹介しています。
このコーティングは、アルミ製フライパンにも使用できるほどの耐久性を持ちながら、誰でも簡単に処理できるのが特長です。そこで今回は、この素材をエクステリア用アルミ製品にも応用できるかを検討し、実際にアルミテーブルを自作してみました。
本記事では、その制作過程と仕上がりをご紹介します。
1.はじめに なぜエクステリア製品にアルミを選ぶのか
エクステリア製品において、アルミは非常に優れた素材です。その理由は、軽量でありながら高い耐久性を持っていることにあります。ただし、アルミはそのままでは腐食しやすいため、屋外で使用するには防食処理が必要です。そこで用いられるのが「アルマイト加工(陽極酸化処理)」です。この処理によって、アルミの表面に強固な酸化皮膜が形成され、耐候性と耐腐食性が大幅に向上します。
他の素材と比較すると、アルミの優位性がよくわかります。たとえば、木材は温かみがあり加工しやすいものの、腐敗しやすく耐候性に乏しいという欠点があります。樹脂は軽くて成形しやすいですが、紫外線や傷に弱く、経年劣化しやすいのが難点です。ステンレスは耐腐食性に優れているものの、重くて傷が目立ちやすいという問題があります。また、ガラスやセラミックタイルは意匠性に優れていますが、衝撃に弱く割れやすいというリスクがあります。このように、アルマイト加工されたアルミは、軽さ・強さ・耐候性の三拍子が揃った素材であり、エクステリア用途において非常に理想的な選択肢と言えるのです。
アルミにあらかじめアルマイト処理が施されていれば、誰でも比較的簡単にエクステリア家具を作ることができます。実際、ホームセンターでは「アルミフレーム」と呼ばれるアルマイト処理済みの角材が販売されており、希望の長さにカットしてもらい、組み立てるスタイルが人気を集めています。しかし、問題は「天板」です。アルミ板にアルマイト処理を施すこと自体は可能ですが、切断・穴あけ・曲げ・絞りなどの加工を行うと、表面のアルマイト層が剥がれてしまいます。これにより、せっかくの防食性が損なわれてしまうのです。さらに、アルマイト表面に描画する場合も、耐久性のある仕上がりを得るのは難しく、色付けに関しても制約があります。アルマイトの着色は、処理工程の途中で染料を浸透・固定させる必要があるため、後から色を加えることは困難です。加えて、アルマイト処理には専門的な知識と設備が必要であり、DIYで気軽に行えるものではありません。そのため、天板に関してはアルミの利点を活かしきれず、結局は腐敗のリスクを承知で木材を使わざるを得ない状況が続いていました。
EMMARINIの透明セラミックコーティングは、一般塗装と同じで、加工の後から処理することができます。ただし、樹脂の塗料と違うところは、セラミックですので紫外線と傷に強い点です。反面、加熱処理が必要ですが、すしネタをあぶるバーナーで可能で、調理される方には少しも難しくありません。フライパンのような過酷な条件にも耐えるほど耐食性もよく、顔料で色付けも可能です。鉛筆硬度は6H以上でさらには、表面が親水性で汚れが水で流れてしまうという特徴があります。親水性はフッ素樹脂の汚れをはじくという撥水性とは真逆になります。キッチン製品でも自動車でも最近では撥水性よりも親水性処理が採用されることが多くなってきました。建築のフッ素樹脂外壁塗料は撥水性によって汚れの水玉模様ができてしまい評判が悪いことは業者間ではよく知られています。
2.これが自作したアルミテーブルです
まずは完成したテーブルをご覧ください

さらに、黒色のアクセント模様を加えることで、全体の印象に引き締まりと個性を与えています。色彩のバランスと磨き目の方向性が調和し、見る角度によって表情が変わるのも魅力のひとつです。
脚部には、市販のアルマイト処理済みアルミフレームを使用。カットと組み立てが容易で、DIYでも高い完成度が得られます。

ベースとなるアルミ板は、研磨によって光沢模様を施しており、見る角度によってきらめきが変化します。この磨きたてのアルミの光沢を長期間キープできるのが、透明セラミックコーティングの大きな特長です。酸化による劣化を防ぎ、美しさと耐久性を両立させています。そして、天板の固定には、通称「魔法の両面テープ」を使用。強力な接着力を持ちながら、必要に応じて着脱も可能で、DIYにおいて非常に便利なアイテムです。ネジや金具を使わずにスマートに仕上げることで、見た目もすっきりと美しく保たれています。
3.製造工程を紹介します。


しかし、この美しい光沢は、時間の経過とともに酸化,傷や汚れによって曇ってしまうのがアルミの宿命です。そこで活躍するのが、透明セラミックコーティングです。このコーティングは、アルミの磨きたての光沢をそのまま封じ込め長期間その美しさを保つことができます。つまり、研磨によって生まれた模様と光沢を、透明セラミックコーティングによって「固定」することで、DIYでありながらプロでも実現できなかった仕上がりを実現しているのです。プロの方はクリア樹脂塗料を使って光沢を保護するのですが、これは厚みが10ミクロン以上もあるためもはや樹脂の光沢です。透明セラミックコーティングの厚さは1ミクロン以下で光の波長程度です。このため質感は樹脂とは全く異なります。




写真では、EMMARINIのコーティング液がスポンジヘッド付き容器に入っていますが、このスポンジで直接塗布すると摩擦により色が剥がれてしまいます。そこで、液をペイントブラシに移し替え、丁寧に塗布します。
塗布量の目安は、歩留まり50%で10g/㎡程度です。液膜にならないよう、時間をかけて少しずつ塗り広げていきます。もし液膜ができてしまった場合は、拭き取らずにティッシュペーパーで吸い取るようにしてください。液膜が残ったまま加熱すると、白く変色してしまいます。
塗布後は再びバーナーで加熱し、トップコートを硬化させます。水拭きして色抜けしなければ成功です。もし色が抜けるようであれば、もう一度トップコートを塗布してください(1回目で色抜けしても、2回目で定着すれば問題ありません)。
3.反対面にもコーティングを施す必要がありますが、せっかくなのでこちらにも描画デザインを加え、リバーシブル仕様の天板に仕上げたいと思います。表裏で異なる表情を楽しめることで、使い方の幅が広がり、より魅力的な作品になります。

写真のステンシルシートは繰り返し使用可能なタイプで、前回使用時の色が残っていても問題ありません。このシートを使って、ラッカースプレーでマスキングを行います。


一度に真っ黒にしようとすると、液量が多くなりすぎて失敗の原因になります。もし失敗した場合は、硬化する前にすぐに拭き取ってください。
なお、ラッカーが施された部分には黒いコーティング液が弾かれて定着しません。これにより、ラッカー模様が浮かび上がるような仕上がりになります。

そのため、模様部分のラッカーだけを安全に取り除くことができ、下地のセラミックコーティングを損なう心配はありません。


このトップコートによって、黒い模様が透明な保護膜で覆われ、摩擦や水拭きによる色抜けを防ぐことができます。もしこすって色が抜けてしまう場合は、もう一度トップコートを塗布し、再度バーナーで加熱してください。

4.テーブルの組み立て
テーブルの脚部にはアルミフレームを使用しました。この組み立て方法については、すでに多くの方がネット上で詳しく紹介されているため、ここでは詳細な説明は省略します。
ただし、ひとつ注意点としてお伝えしたいのが「切断面の腐食防止」です。アルミフレームは通常、表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)が施されており、耐食性がありますが、切断した断面はアルミ素地が露出しており、無防備な状態です。そのため、端面処理と呼ばれる保護処理を施すことが重要です。


しっかりと固定できるうえに、必要に応じて取り外しも可能な、非常に便利な両面テープです。DIY用途にもぴったりで、天板の着脱を簡単にしたい場合におすすめです。

また、この両面テープは引っ張ることで簡単に剥がすことができるため、天板をリバーシブルで使うことが可能です。用途や気分に応じて、表裏のデザインを切り替えて楽しめます。
なお、アルミ素材は直射日光を浴びると高温になりますので、屋外で使用する際はテーブルクロスなどをかけてご使用ください。
あなたも、世界にひとつだけのオリジナルアルミ天板を作ってみませんか?木材のように腐る心配はなく、金属ならではの光沢が新しい素材感をもたらしてくれます。さらに、従来のアルマイト処理よりも簡単に施工でき、より硬く、熱に強く、汚れもつきにくいという特長があります。機能性と美しさを兼ね備えたアルミ天板は、DIYの可能性を大きく広げてくれるはずです。
Blog EMMARINIでは、透明セラミックコーティングを活用したアルミ製の食器や調理器具をご紹介しています。新しい素材だからこそ、これまでにない自由なデザインが可能になります。コーティング液はブログショップにて販売しており、誰でも手軽に試すことができます。また、この技術は特許を取得済みで、広く開放されています。詳細については、画面右上のメニューボタンから検索してご覧ください。