エトナ山とイオニア海、シチリア島タオルミーナより

フライパンに限らず、セラミックコーティングには樹脂が混じっているものがあります。この投稿ではセラミックとは、無機材料(有機物ではない。陶磁器、天然石、ガラス、ダイアモンド、セメントを含む)とさせていただきます。しかし、一般的コーティング(塗料)の世界では、無機材料の粉が含まれていて有機物の樹脂をバインダーとしているものもセラミックコーティングといいます。もちろん、樹脂を含まない純粋に無機材料だけからなる塗料もセラミックコーティングです。

ややこしい話ですが、建設現場の世界では、セラミックコーティングといえば樹脂が含まれているのがむしろ当たり前です。樹脂がなければ、くっつかなくてコーティングにならない。漆喰やモルタルでも多かれ少なかれ樹脂が入っています。一方で、樹脂コーティング(アクリル塗料、シリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料など)と言われているものも、一部のクリアを除いて、だいたい無機材料の粉が入っています。色のための顔料や骨材は無機材料で、逆も真でそもそもこれらが入っていなければコーティングになりません。建設現場で100%無機、100%樹脂コーティングはあるのでしょうか?

セラミックコーティングと樹脂コーティングは、ほとんどの場合は無機と有機材料の混合物ではっきりした定義の差はありません。むしろ生産者が強調したい機能で分類しています。セラミック由来の機能(例えば、遠赤外線、抗菌、硬さ、防汚)を強調したい場合はセラミックコーティングであり、樹脂由来の機能(例えば、撥水性、耐候性、しなやかさなど)を強調したい場合は○○樹脂塗料と言われているようです。

建設の世界では混乱しなくても、フライパンの世界では混乱する。耐熱性の違いとくっつきにくさが決定的大問題。

建設の世界では、セラミックコーティングといっても樹脂が入っていることはむしろ当たり前で、誤解はあっても大きな混乱はないと思われます。しかし、フライパンの世界では混乱の元凶になります。なぜならば、フライパンは建設物よりも小さいので無機物だけのコーティングが可能になります。純粋な無機材料だけをコーティングしたフライパンと、樹脂混合物コーティングのフライパンでは、特にくっつきやすさと耐熱性能が決定的に違ってくるのはあたりまえなのに、これをどちらもセラミックコーティングと称していては混乱するのは至極当然です。正直、私も混乱しています。みなさんには説明書がきちんとしたセラミックフライパンを選ばれることをお勧めします。インチキ商品は論外としても、誤解がないのが一番です。

次回は、樹脂混合セラミックフライパンと純粋セラミックフライパンの大違いについて述べます。