【DIY鍋づくり】世界で唯一のオリジナルお鍋を簡単な方法で手作りしよう！

フライパン

アルミ板から鍛金技法を使って、鍋本体を自作する方法をご紹介します。特別な道具がなくても、あなた自身の手で唯一無二の鍋を作ることができます。簡単なステップで、あなただけのこだわりの逸品を完成させてみませんか？お皿などの食器については、自作でお気に入り品を作られる方は大勢いらっしゃいます。しかし、火にかけて使うお鍋を自作すると今までは大変困難でした。

こんにちは。当ブログEMMARINIでは、廃棄時の環境負荷の大きいフッ素樹脂を使わずに、透明なセラミックコーティングをアルミ調理器具に処理する技術を紹介しています。今回は、この技術を使ってアルミのお鍋を自作する方法を紹介します。

食器のように、お鍋もオリジナル品を自作できれば食事はもっと楽しくなりそうですね。しかし、自分でお鍋を自作するのは食器どころではない技術、知識、設備が必要で一般人には簡単に手は出せませんでした。例えば、陶芸やガラス細工ではゼロ熱膨張という聞きなれない原料を使いこなす専門知識が必要です。金属では鉄では鍛冶技術が必要ですし、ステンレスでは大型のプレス機が必要です。アルミはハンマーさえあれば鍛金で成形まではできますが腐食と変色防止のためのアルマイト加工が素人には簡単ではありません。成型容易な錫では融点が低すぎます。銅ならば可能とされていますが、これの鍛金は決して簡単ではなく、緑青防止の錫引きなどの処理も必要ですし、日常のお手入れも大変です。

EMMARINIではアルミで、アルマイトに代わる透明セラミックコーティングを使って腐食防止を実現しました。このコーティングはガラスと同じシリカを主原料としていて全く安全です。コーティング方法は、アルミに塗ってからコンロで加熱するだけです。しかも、親水性であるためアルマイトより汚れが簡単に落ちるという特徴があります。このコーティング液はブログショップでお買い求めいただけます。さらに、このコーティングを用いるとアルミの黒化反応によるステンシル文字入れや描画装飾が可能になります。この技術について特許を取得しました。

１．お鍋製造方法の流れ

①アルミ板金の準備（純アルミ1000番台推奨）、厚さ１～２ｍｍ、30㎝〼程度

②焼きなましてアルミ板を柔らかくする（バーナーで400℃1分程度加熱後徐冷、ガスコンロだと中火3分位）

③模様をつけるときは、ステンシルシートをアルミ表面に糊付けし、ラッカースプレーか油性インクで模様を描く、この模様がマスキングとなり後述の沸騰水黒染め時に斑点模様となる。模様不要な場合は⑥へ進んでください。

ステンシルシートをアルミ板に張り付けてからラッカースプレーします。
ラッカーで模様が描かれました。これがマスキングになります。
別の作品ですが、ステンシルテンプレートを使うと楽に絵柄作成ができます。成型前の平板だからこそこのようなことができます。成型した後にテンプレートを貼り付けることはできません。
ラッカーでマスキング後、透明セラミックコーティングします。コーティングは叩いて成形しても剥がれないことが特長です。このようなセラミックプレコート品を後から成形することは通常は至難の業とされています。

④　のりや汚れをきれいに洗浄して取り除いてから（弱アルカリ洗剤セスキ使用を推奨）、透明セラミックコーティング液を塗布します。過剰な液はふき取りながら全体に伸ばします。液が溜まったところは必ずふき取ってください。液が多すぎると、コーティングが熱くなりすぎ焼き付け後白くなってしまいます。くれぐれも一度に塗りすぎないようにしてください。自然乾燥後もう一度塗布して塗り残しがないようにします。これでマスキングがない部分だけ透明セラミックコーティングが塗布されたことになります。

透明セラミックコーティング液です。ブログショップで販売しています。スポンジキャップ付きです。仕入れの関係で容器が変更されることがありますのでご了承ください。

ブログショップ　EMMARINI

⑤　ラッカー薄め液でマスキングを取り除きます。これで何も塗られていないアルミ面が露出します。ガスコンロで２５０℃程度に（Siセンサー作動温度）加熱して、セラミックコーティング定着させます。

⑥　ハンマーで叩いて鍋の形に成形します。ひたすら叩きます。セラミックコーティング液はしっかりと定着していますので叩いたくらいで剥がれませんが、削ったり傷つけたりはしないでください。

こちらはステンシルで何も描ていない面です。叩きまくって凹みを作りました。底は平らにします。筆者はこのボコボコ感が好みです。
⑦叩き終わった後は、研磨剤で磨いてから、先ほどの④と同様にして、弱アルカリ性洗剤で汚れを取り除いてから、透明セラミックコーティング液を２~３回塗布します。次いで、ガスコンロで２５０℃に加熱して、コーティングを定着させます。
叩いたアルミ表面を磨くと美しい金属光沢がある表面が得られます。この表面は空気中だと酸化されて曇ってきてしまいます。EMMARINIの透明セラミックコーティングは厚さが１ミクロン以下で、かつ酸化をを阻止しますので、この美しい光沢を長期にわたって保持することができます。アルミ箔とはまた異なる輝きです。アルミは決して安っぽいものではありません。

⑧　この成型品を大きめ鍋に水道水をいれて完全に沈めます。６０分ほど沸騰させると、透明セラミックコーティング液が塗布されていない部分がアルミの黒化反応で黒く染まります。黒化反応は、アルミが水道水中のカルシウムや鉄分と化学反応して薄い膜を作るためとされていますが、なぜ黒く見えるかは解明されていません。ただし、安全であることはWHOでも確認されていますのでご安心ください。

黒く発色した凸面です。透明セラミックコーティングは変形しても剥がれることがないためこのように模様を保つことができます。ただし、ミクロレベルではセラミックスは伸びるものではないので、目に見えない亀裂が生じているはずです。

⑨仕上げに、模様のある凸面にも透明セラミックコーティングを、黒染めの上から前と同様に２~３回塗布します。焼き付けもコンロで２５０℃で行います。これで、黒染めの部分もセラミックコーティングで保護されます。たわしやメラミンフォームでこすっても剥がれなくなります。ただし研磨剤は強すぎますのでお控えください。

完成品です。凹面の鍋の内側になります。
凸面の鍋の外側になります。

2. お鍋で料理を作ってみました。イタリアンで茄子のカポナータです。

取っ手は四隅角になりますが、ペンチを使って持ち上げます。二個あれば両手鍋になります。日本式にやっとこを用いることもできます。個人的には取っ手なんかない方がお鍋やフライパンは便利と思います。
材料を入れてお鍋を弱火で煮込みます。
カポナータの出来上がりです。蓋も別途アルミ板を切り抜いて黒染め描画して作成しておきました。

自作のオリジナル鍋いかがでしょうか？鍋本体まで自作して料理を楽しむことも簡単にできるようになりました。

最後にお取り扱いについて記しておきます。

①セラミックコーティングは２５０℃（ガスコンロのSiセンサーが作動して自動的に弱火になる温度）に予熱しておくことを推奨します。これで食材がくっつきにくくなります。もしくっついた場合は水を少々入れるか、鍋の外側を濡れふきんに載せて温度を下げると、熱伝導と熱膨張率との関係で、はがれやすくなります。

②少々の焦げ付きは水かお湯につけておくと取れやすくなります。メラミンフォームに洗剤をつけてこするとなお取れやすくなります。

③ひどい焦げ、油の焦げ付きは、正直やっかいで、細かいスチールウールか、研磨剤いりたわしと弱アルカリ洗剤を使うと取れます　ただし、コーティングにも傷がつきます。しかし、コーティングに傷がついても、焦げを完全に落としてからお求めいただいた透明セラミックコーティングを塗布すると再生できます。フッ素樹脂コートを自分で塗布するのはPFOA問題で難しいとされていますが、透明セラミックコーティングは安全で塗ってコンロで焼き付けるだけなので簡単です。EMMARINIはこの点を目指しています。