100円アルミ皿を沸騰水道水で両面を黒化し、これをグリルに入れると熱を集めて表面温度が400℃越えになります。ここで短い時間ピザを焼くと外は焦げ目がついて、中は水分のあるモチモチの本場イタリアンピッツァを家で作ることができます。

こんにちは。当ブログEMMARINIでは、廃棄時の環境負荷が大きいフッ素樹脂を使わない調理器具について情報発信しています。今回は、家庭で400℃越えの温度で本格的にピザを焼く方法を紹介します。イタリアンレストランにあるようなピザ窯は高価ですが、100均で売られているアルミ皿と魚を焼くグリルがあれば簡単です。

1.本格ピザ窯では450℃、2分以内で焼き上げる。しかし、家庭用ガスグリルや高温オーブントースターの最高温度は350℃、電気オーブンは250℃にしかならないので時間をかけて火を通すしかない。

高温と言われるガスグリルでさえ100度も足りません。そこで、この不足を補うために100円均一ショップで売られているアルミ皿を沸騰水道水で黒化してピザプレートとし、熱を集めやすくさせます。

100均で売られているアルミ皿です。直径25㎝、アルミ箔よりは厚手です。
これを大きめの鍋に入れて水道水に浸し、重曹を小さじ1入れて沸騰させ、30~1時間保温するとアルミが黒くなります。この黒化現象は、アルミが水道水中の鉄やカルシウム分と反応して薄い層を形成することによって生じる光の干渉作用によると考えられます。しかし、シャボン玉のような虹色でなく、なぜ光を吸収して黒くなるのかは未解明です。この黒は染料や顔料ではないため食品に接しても色移りせず、また安全であることはWHOでも確認されています。(注:写真の猫の柄は装飾目的です。これは油性マーカーで描いています。この部分はマスキングされて黒化しないため、後で除光液で取り除くと抜けて白く見えます。)
沸騰水道水の黒化による黒染め後です。(右)油性マーカーを取り除くと猫の柄が白く反転しているので黒化したのがよくわかります。これだけでピザ焼き用のトレイは完成です。(左)別に作成したものですが、反対側も黒くなります。完全な黒体にはなりません。

2.グリルの温度を確認しました。両面黒いアルミ皿ならば440℃達成できました。

何もないままでのガスグリル、この両面とも黒いアルミ皿、比較用に銀色ままのアルミ箔、片面だけ黒いアルミ箔(焼き芋用)の温度変化を熱電対温度計で測定しました。測定点は食品が乗せる位置での表面です。グリルの温度制御センサーとは別の位置になります。

何もないグリルまま(緑)では360℃でセンサーが作動して温度はこれ以上あがりませんでした。銀色のアルミホイルを置いてもこれは熱を吸収しないで反射してしまうので同じことでした。これに比べて今回作成の両面黒いアルミ皿では、440℃まで温度が上がりました。黒いため下バーナーからの熱を吸収して、この熱を反対側の黒い面から放射していると考えられます。上バーナーからの熱も黒いので反射せずそのまま受けることができます。

参考の焼き芋用の片面黒ホイルでは一時400℃になりましたが両面黒よりは温度が低くなりました。確かに下側の黒い面では熱を吸収して温度は上昇するのですが上側反対銀色の面で熱を吸収できず反射してしまう問題があると考えられます。両面を黒にすればいいのにと思いますが、黒い染料が食品に色移りするために、片面しかできないそうです。

3.実際にピザを焼いてみました

ピザ生地は市販品を使いました。グリル(オーブントースター)で3~4分間、250℃オーブンだと4~5分の焼き時間が指定されています。
ソース、チーズ、ベーコンでたっぷりとましましトッピングします。

両面黒いアルミ皿をグリルで予熱します。予熱時間はグラフにあるような最高温度に到達直前の7分間にします。長すぎるとグリルの温度制御センサーが作動して温度が低くなってしまいますので注意が必要です。

予熱7分後に素早くピザを両面黒いアルミ皿に入れ、ただちにグリル内に戻します。極力温度を下げないよう手早く作業します。ピザの下に銀色のシートが見えますが、これは魚がくっつかない使い捨てアルミホイルです(シリコーンが塗布してあり、フッ素樹脂と違い高温で分解しても有毒ガスは発生しません。)これをあらかじめピザ生地の底に貼り付けておいて一緒に焼くとピザと皿がくっつきません(くっつかないホイルは必ずピザと一緒に入れてください)。
2分後です。表面はしっかり焦げ色がついていい感じに見えます。
焼いたピザの裏面です。あらかじめ400℃越えで予熱されていたため短い2分間でも焦げ目がついていました。

4.試食感想は「実にモチモチ」です。

カリカリ感は焦げ目から想像できますが、中がこんなにもモチモチになるとは想像以上でした。ベーコンにも火がしっかり通っていました。高温にすることによって焼き時間を短くするのがうまいピザのポイントというのは間違いないです。皆さんにもお試しいただければ幸いです。ステーキやあぶりにも使えそうですね。

5.ご注意いただきたいこと

① フッ素樹脂加工品は使わないでください。グリルのお手入れが楽になるとして、フッ素樹脂加工された両面とも黒いグリル皿が販売されています。この皿を、本ブログのように予熱してしまうと400℃以上になる恐れがあります。フッ素樹脂は250℃以下でしか使えないことにご注意ください。

② 両面焼き器具が推奨です。温度はグリルやオーブントースターの性能によって異なると考えられます。グリルについては両面焼き、オーブントースターについては1300wのグラファイトヒーターで黒いアルミ皿表面の400℃越えが確認できました。

ご参考としてグラファイトヒーターオーブントースターを紹介します。また、温度確認される方には熱電対を紹介します。熱電対は料理の調理の温度測定に便利です。このような接触型の方が放射型よりも使い良いです。本ブログでは広告収入を得ています。

6.もっと使いやすいピザプレート

100均アルミ皿の問題は薄いためにくしゃくしゃになることです。また、黒染めもトマトソースの酸で脱色してしまいます。つまりは、あまり長持ちしそうもありません。アルミ皿は安いのですが、何度も黒染めするのは面倒です。そこで、もう少し厚いアルミ板を用いて熱容量を増やし、さらに黒染めを安定化させて何回も使えるピザ焼きプレートを作る方法を紹介したいと思います。これにはEMMARINIオリジナルのセラミックコーティング液が必要になります。以前紹介した、アルマイト処理されたアルミバット・トレイのアルマイト層を剥がしてから黒染めしたものならばうまく400℃ピザを焼くことができます。ただし、この方法はアルマイトを剥がす点が面倒です。アルマイトは熱に弱く、これがあると黒染めができません。

アルミバット、トレイの詳しい作成方法(画像をクリックしてください)

もう一つの方法は、アルマイト加工されていない工作用の無垢のアルミ板を使うことです。縁がないので曲げると使い良くなります。アルミ箔よりも厚い0.5~2mm程度が良いでしょう。厚いほど熱容量が大きくなるので温度が下がりにくいメリットがありますが、厚すぎると熱くなりにくくなります。

無垢アルミ板を黒染めしてプレートを作成しました。作り方は、上の写真のアルミバットの作り方のアルマイト剥がしを省略してください。

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