エマリーニではアルミフライパンの調理面に描画して装飾しています。このための発色は、アルミニウムの黒色化反応と呼ばれる、水道水を沸騰させる方法を用いています。アルミフライパンや鍋が使っているうちに黒くなってくる現象です。「顔料や染料を使わずに黒くなるのか?」と思われるかもしれませんが、まずは、動画をご覧ください。
アルミフライパンの黒色発色の動画です。描画が沸騰水中で現れてくる不思議な現象です。あぶり出しのようですが、水中です。勝手に「アルミ出し」と名付けました。
20倍速で撮影しています。お湯が沸騰して泡が出てくると黒色化反応が始まります。火を弱めて温度をキープしていますが、描画が徐々に現れてくるのがわかります。30分くらいで反応は完結します。描画はセラミックスをゾルゲル法と呼ばれるコーティング液を用いて、ステンシル技法で描いています。セラミックスでコーティングした部分は透明ですが、保護されて沸騰水と接触しないので黒くならず、アルミニウムがむき出しているところだけが黒くなります。
黒色化反応のメカニズムは完全に解明されていませんが、アルミニウムが水道水中の鉄とカルシウムと化学反応して黒く発色し沈着することが知られています。箱根の黒卵のようにイオウは関係していません。全く無色透明な水道水で黒くできるのは不思議と思われます。蒸留水では黒くなりません。もちろん、安全であることは確認されています。
最終的に、もう一度全体をゾルゲル法でコーティングして完成させます。
黒色化反応で描画した部分はあまり丈夫ではなく、調理はできるのですが長持ちしません。そこで、エマリーニでは全体をもう一度ゾルゲル法でセラミックスをコーティングしています。これで、描画も保護されます。これで調理しても剥がれなくなります。ただし、コーティングは薄いためフッ素樹脂のように研磨剤で磨くのはお避け下さい。コーティング自体が親水性のため、メラミンフォームできれいになります。メラミンフォームの代わりにアルミホイル(アルミ箔)を丸めたものでたわしのようにこすっても焦げ落としには効果的です。下の写真が動画にあるフライパンの完成品です。